井伏鱒二は小説とエッセイの違いについて問われ、フィクションが入っているのが小説だと答えたという。ただし、小説でも事実に基づいたものはあるし、エッセイでも全くフィクションが入っていないかどうかは分からない。 ある事実を短編小説として書くか、エッセイとして書くか考えることがある。短編として書くなら、臨場感のある描写が必要なのは当然だが、読者が息をつく暇も与えぬようにするには、出来事は数日か、できれば一日の出来事に限った方がいい。数ヶ月や数年の時の流れを描きたい場合、長編でなけれ..

 井伏鱒二は小説とエッセイの違いについて問われ、フィクションが入っているのが小説だと答えたという。ただし、小説でも事実に基づいたものはあるし、エッセイでも全くフィクションが入っていないかどうかは分からない。
 ある事実を短編小説として書くか、エッセイとして書くか考えることがある。短編として書くなら、臨場感のある描写が必要なのは当然だが、読者が息をつく暇も与えぬようにするには、出来事は数日か、できれば一日の出来事に限った方がいい。数ヶ月や数年の時の流れを描きたい場合、長編でなければ小説としての密度が保てない。
 数年や数ヶ月の時の流れを、短い枚数で描きたいなら、エッセイとして書くことになる。エッセイには描写が含まれても構わないが、何よりも大切なのは、時の流れを経た出来事の全体を、筆者自身がどうとらえているか、その意識が文章から感じ取れなければいけないということだ。描写や事実の説明だけでは、エッセイとしては成り立たないということである。
 したがって、優れたエッセイなら、長編小説を読んだ時に等しい感動が、読者の胸に残るはずである。筆者の思考がより直接的な形で、文章の節々から感じ取られ、読者に生きる上でのヒントが与えられるのである。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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