役に立たない研究ばかりしている学者も、槍玉に上がってしまう。糞便から食料を作る研究室を訪れたガリヴァは、悪臭に辟易するばかりである。ルルスの結合術を思わせる文字盤を運転させると、偶然の組み合わせから無数の文が生み出される。それによって、機械的に知の獲得がなされるらしい。それを読んで、コンピューターに詩を作らせる実験を思い出した。 ガリヴァは日本にも寄っているのだが、江戸や長崎らしい地名が出てくるだけで、特に面白い描写はない。十八世紀初頭という設定だから、徳川綱吉の治世にやっ..

 役に立たない研究ばかりしている学者も、槍玉に上がってしまう。糞便から食料を作る研究室を訪れたガリヴァは、悪臭に辟易するばかりである。ルルスの結合術を思わせる文字盤を運転させると、偶然の組み合わせから無数の文が生み出される。それによって、機械的に知の獲得がなされるらしい。それを読んで、コンピューターに詩を作らせる実験を思い出した。
 ガリヴァは日本にも寄っているのだが、江戸や長崎らしい地名が出てくるだけで、特に面白い描写はない。十八世紀初頭という設定だから、徳川綱吉の治世にやって来たということなのだろう。
 ガリヴァが最後に訪れたのは馬人国で、高貴な魂を持つ馬と、下劣な野獣の本能を持つ人間、ヤフーが棲む世界である。検索サイトのYahoo!は、そこから名前を取っているわけだが、果たしてどんな意図からだろうか。スウィフトは人間の醜い面、肉体、排泄物を憎悪した。ひたすら続ける批判は、人間に対する呪詛のようである。
 文学的な効果もへったくれもない。寓話の形を借りて、人間への罵詈雑言を言いたい放題綴ったようなものだ。当然のことながら、人間の世界に戻ったガリヴァは、狂人のように適応障害となる。ガリヴァの心を慰めるのは、純真な馬ぐらいである。ペットに癒しを求める現代人も、そこまで人間を憎んではいないだろう。人間の醜い面ばかり描かれていので、馬人国の世界は重苦しいのである。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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