ガリヴァが小人国に行っただけではなかった。僕は小学生低学年の頃、絵本でガリヴァのことを知った。小人国で囚人となり、針のような矢で射かけられながらも、敵国の船を魚でも捕らえるように拿捕したことで、国王の信認が得られた。あるとき、王宮が火事になり、火を消すためにガリヴァが小便をかけたことで罪を問われ、針で目を潰すという判決を受けながらも小人国を脱出した。普通の人が知っているのはそこまでだろう。 次の巨人国では、ガリヴァは巨人の農民に捕らえられ、虫かごに閉じ込められた上に、見世物..

 ガリヴァが小人国に行っただけではなかった。僕は小学生低学年の頃、絵本でガリヴァのことを知った。小人国で囚人となり、針のような矢で射かけられながらも、敵国の船を魚でも捕らえるように拿捕したことで、国王の信認が得られた。あるとき、王宮が火事になり、火を消すためにガリヴァが小便をかけたことで罪を問われ、針で目を潰すという判決を受けながらも小人国を脱出した。普通の人が知っているのはそこまでだろう。
 次の巨人国では、ガリヴァは巨人の農民に捕らえられ、虫かごに閉じ込められた上に、見世物に出されて衰弱してしまう。巨人の王族に保護されるのだが、あるとき、虫かごのような家が波に呑まれ、人間の世界に戻ってこられる。はっきり言って、よく書けているのはそこまでである。
 それからは、描写がおろそかになり、ひたすら語り手の饒舌が続き、奇譚もマンネリ化してくる。空を飛ぶ国ラピュタなどは、宮崎駿の想像力を刺激したようだが。こうした空想譚の裏には、当時のヨーロッパ王族への批判があり、登場する異界の国王は、実在する人物がモデルとなっていたのだ。しかし、現代人はその点はピンと来ないから、寓話ではなく奇譚として読むしかない。そのため、マンネリ化してくると、もう読むのが苦痛になってくる。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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