宮沢賢治は大正11年27歳の時に、女学校の教師をしていた2歳年下の妹トシを亡くしている。詩集『春と修羅』に収録された「永訣の朝」「松の針」「無声慟哭」などに、その心情が吐露されている。 大正12年8月、賢治は北海道と南樺太を旅する。亡き妹トシの魂が白い鳥となって、北方に旅立ったという思いから、トシの面影を求めての旅になった。稚内から大泊(コルサコフ)に渡り、樺太の大地を鉄道で北上する。豊原(ユジノサハリンスク)を経て栄浜(スタロドゥプスコエ)に出て、『銀河鉄道の夜』の構想を..

 宮沢賢治は大正11年27歳の時に、女学校の教師をしていた2歳年下の妹トシを亡くしている。詩集『春と修羅』に収録された「永訣の朝」「松の針」「無声慟哭」などに、その心情が吐露されている。
 大正12年8月、賢治は北海道と南樺太を旅する。亡き妹トシの魂が白い鳥となって、北方に旅立ったという思いから、トシの面影を求めての旅になった。稚内から大泊(コルサコフ)に渡り、樺太の大地を鉄道で北上する。豊原(ユジノサハリンスク)を経て栄浜(スタロドゥプスコエ)に出て、『銀河鉄道の夜』の構想を得たとされる。
 代表作『銀河鉄道の夜』の中で、ジョバンニが親友カンパネルラへの思いを抱いて、町の夜景を眺めていると、汽車の音が聞こえて、明かりのともった車窓の中で、旅人が楽しそうにしているのが見える。そこから原稿の欠落があり、いつの間にか、ジョバンニはその列車の中に、カンパネルラとともに乗り込んでいた。
 宇宙を走る銀河鉄道からは、星空に林や野原が二重写しになった幻影が見える。この世に別れを告げるときに、懐かしい思い出を夜空に投影するかのように。「あそこがほんとうの天上なんだ。あっ、あそこにいるのはぼくのお母さんなんだよ」と語ったのを最後に、カンパネルラは車内から姿を消す。
 目を覚ましたジョバンニは、カンパネルラが川に落ちた友人ザネリを助けるために、川に飛び込み、命を落としたことを知る。カンバネルラとの別れの中に、熱病で死んだ妹トシへの思いが込められている。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
https://podcasts.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en

Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38

Telegram
https://t.me/takanoatsushi


にほんブログ村



人気ブログランキングへ





ランキングはこちらをクリック!

amzn_assoc_ad_type ="responsive_search_widget"; amzn_assoc_tracking_id ="faucon-22"; amzn_assoc_marketplace ="amazon"; amzn_assoc_region ="JP"; amzn_assoc_placement =""; amzn_assoc_search_type = "search_widget";amzn_assoc_width ="auto"; amzn_assoc_height ="auto"; amzn_assoc_default_search_category =""; amzn_assoc_default_search_key ="";amzn_assoc_theme ="light"; amzn_assoc_bg_color ="FFFFFF";
Twitter、facebookでの拡散、よろしくお願い致します!

Twitter Mentions