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宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』について
「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
Japanese - May 21, 2022 17:58Books Arts Society & Culture 日本文学 コンピューター ジャズ 電子本 電子書籍 文学賞 青空文庫 epub pdf 高野敦志 Homepage Download Apple Podcasts Google Podcasts Overcast Castro Pocket Casts RSS feed
宮沢賢治は大正11年27歳の時に、女学校の教師をしていた2歳年下の妹トシを亡くしている。詩集『春と修羅』に収録された「永訣の朝」「松の針」「無声慟哭」などに、その心情が吐露されている。 大正12年8月、賢治は北海道と南樺太を旅する。亡き妹トシの魂が白い鳥となって、北方に旅立ったという思いから、トシの面影を求めての旅になった。稚内から大泊(コルサコフ)に渡り、樺太の大地を鉄道で北上する。豊原(ユジノサハリンスク)を経て栄浜(スタロドゥプスコエ)に出て、『銀河鉄道の夜』の構想を..
宮沢賢治は大正11年27歳の時に、女学校の教師をしていた2歳年下の妹トシを亡くしている。詩集『春と修羅』に収録された「永訣の朝」「松の針」「無声慟哭」などに、その心情が吐露されている。
大正12年8月、賢治は北海道と南樺太を旅する。亡き妹トシの魂が白い鳥となって、北方に旅立ったという思いから、トシの面影を求めての旅になった。稚内から大泊(コルサコフ)に渡り、樺太の大地を鉄道で北上する。豊原(ユジノサハリンスク)を経て栄浜(スタロドゥプスコエ)に出て、『銀河鉄道の夜』の構想を得たとされる。
代表作『銀河鉄道の夜』の中で、ジョバンニが親友カンパネルラへの思いを抱いて、町の夜景を眺めていると、汽車の音が聞こえて、明かりのともった車窓の中で、旅人が楽しそうにしているのが見える。そこから原稿の欠落があり、いつの間にか、ジョバンニはその列車の中に、カンパネルラとともに乗り込んでいた。
宇宙を走る銀河鉄道からは、星空に林や野原が二重写しになった幻影が見える。この世に別れを告げるときに、懐かしい思い出を夜空に投影するかのように。「あそこがほんとうの天上なんだ。あっ、あそこにいるのはぼくのお母さんなんだよ」と語ったのを最後に、カンパネルラは車内から姿を消す。
目を覚ましたジョバンニは、カンパネルラが川に落ちた友人ザネリを助けるために、川に飛び込み、命を落としたことを知る。カンバネルラとの別れの中に、熱病で死んだ妹トシへの思いが込められている。
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