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星新一の「逃走の道」
「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
Japanese - May 20, 2022 17:24Books Arts Society & Culture 日本文学 コンピューター ジャズ 電子本 電子書籍 文学賞 青空文庫 epub pdf 高野敦志 Homepage Download Apple Podcasts Google Podcasts Overcast Castro Pocket Casts RSS feed
宝石類を盗んだ二人組は、駅構内に逃げ込むが、すでに警察の手が及んでいるのを知って、停車中の車両に乗り込む。トイレに潜んでいると、おもむろに列車が走り出した。しめしめ、これでうまく逃げ切れると思ったのだが、どうも車内がおかしい。乗客が無口で身動き一つしていないではないか。 何と、乗客はすべて人形だったのである。他の車両も、運転手までもが。だとすれば、この列車はどこへ行くのか。止めることはできるのか。とんでもない列車に乗り込んでしまった! 猛スピードで突進する列車は、ブラックホ..
宝石類を盗んだ二人組は、駅構内に逃げ込むが、すでに警察の手が及んでいるのを知って、停車中の車両に乗り込む。トイレに潜んでいると、おもむろに列車が走り出した。しめしめ、これでうまく逃げ切れると思ったのだが、どうも車内がおかしい。乗客が無口で身動き一つしていないではないか。
何と、乗客はすべて人形だったのである。他の車両も、運転手までもが。だとすれば、この列車はどこへ行くのか。止めることはできるのか。とんでもない列車に乗り込んでしまった! 猛スピードで突進する列車は、ブラックホールに呑み込まれるようである。
止まらない夜行列車というのは、典型的な悪夢の一つである。行き先は別世界、あの世だろう。ホラー小説じみた流れを感じたわけだが、作者はそれに現実的な裏付けを与えることで、読者に一泡吹かせるのである。
この列車は鉄道事故を想定した実験で、まもなく激突して大破するだろう。乗客がみな人形だったのは、事故によって人体がどのような損傷を受けるか見るためだったのだ。衝突の直前で幕を下ろしたのも秀逸である。
「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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