Fats Navarro Memorial Album

　ファッツ・ナヴァロと言っても、ピンと来ない人が多いかもしれない。1950年、26歳で早逝したトランペット奏者である。当時はやっていたビバップという、超絶的な速さで弾くジャズのジャンルを開拓した一人である。
　ビバップと言えば、サックスのチャーリー・パーカー、トランペットのディジー・ガレスピー、ピアノのバド・パウエルの３人が有名だが、演奏技術ではガレスピーに引けを取らない。ただ速いだけでなく、叙情的な表現にも長けていた。このアルバムには収録されていないが、Nostalgiaが最もよく知られている。
　亡くなったのはチャーリー・パーカーが世を去る５年前で、死因は結核とヘロイン中毒である。麻薬で早逝した悲劇の奏者という点では、パーカーとイメージが重なる。
　当時の録音技術はかなり劣っていたが、ここに収録された曲は、驚くまでに音が鮮明である。52nd Street ThemeやLady Birdなど、パーカーのアルバムを彷彿させるものが多いが、ナヴァロの叙情的な歌心がよく表現されているのはOur Delightである。
　なお、e-onkyo（https://www.e-onkyo.com/music/）では96kHz/24bitと192kHz/24bitの物が販売されているが、どうしたわけか後者の方が値段が安い。

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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