早朝五時半に目が覚めた。海は霧が立ちこめ、対岸も何も見えない。起き上がると、私服を脱いで制服に着替えた。七時に大阪南港に接岸した。 下船後すぐにバスで新大阪駅へ向かった。大阪の街は見られないようだ。八時前には到着し、一時間余り自由行動となった。今日はK先生の誕生日だった。クラスのリーダーが先生に焼酎を買ったというので、僕らはおつまみを買った。クラスのみんなは、K先生が大好きだからだ。気取らずありのままに、本気で向き合ってくれ、真面目だけれども、よく脱線していた。こんな先生、..

 早朝五時半に目が覚めた。海は霧が立ちこめ、対岸も何も見えない。起き上がると、私服を脱いで制服に着替えた。七時に大阪南港に接岸した。
 下船後すぐにバスで新大阪駅へ向かった。大阪の街は見られないようだ。八時前には到着し、一時間余り自由行動となった。今日はK先生の誕生日だった。クラスのリーダーが先生に焼酎を買ったというので、僕らはおつまみを買った。クラスのみんなは、K先生が大好きだからだ。気取らずありのままに、本気で向き合ってくれ、真面目だけれども、よく脱線していた。こんな先生、今まで会ったことがなかったから。
 九時に新幹線がホームに入線してきた。二十二分に発車。車内でハッピーバースデーを歌って、K先生に焼酎とおつまみを贈った。今みたいに小うるさい時代じゃなかったから。朝食の幕の内弁当を食べた後、しばらくおしゃべりしていたが、そのうち皆うとうとし始めた。
 東京駅には十二時三十二分に到着。点呼してすぐに解散となった。同級生と中央線に乗り込んだ。ゴミ箱で拾った「朴大統領射殺」の新聞を二人で見ていた。彼に北海道で旅した時のことを聞いた。朝食はパンと牛乳、昼食は食堂、ぜいたくしなければ、旅費は五万程度。一日中列車に乗っていると、自分のうちのような気がするなど。
 当時は急行「八甲田」で青森まで半日近く揺られ、さらに青函連絡船に乗っての旅だった。北海道は僕らには別世界だった。自分も大学生になったら、ぜひ長旅をしたいと思ったものだ。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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