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十六歳の修学旅行(19)
「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
Japanese - November 01, 2020 18:26Books Arts Society & Culture 日本文学 コンピューター ジャズ 電子本 電子書籍 文学賞 青空文庫 epub pdf 高野敦志 Homepage Download Apple Podcasts Google Podcasts Overcast Castro Pocket Casts RSS feed
やむなく、後免駅で下車した。改札係に「ここで降りると、もう急行券使えんで」と言われ、途中下車の印を押してもらった。「これ、なくさんように、気ぃつけて仲良う持ってきな」 次の下り列車で高知に向かった。各駅停車はのろのろ進む。途中で生徒たちが乗り込んできた。教科書を覗くと、三角関数を解いている。僕にはさっぱり分からない。 ようやく、高知駅に戻ってきた。あの人は待合室にいた。「次ので行こうと思った」とけろっしている。「まあ、大体予定通りに行くんでしょう?」 それを聞いて、僕たちの..
やむなく、後免駅で下車した。改札係に「ここで降りると、もう急行券使えんで」と言われ、途中下車の印を押してもらった。
「これ、なくさんように、気ぃつけて仲良う持ってきな」
次の下り列車で高知に向かった。各駅停車はのろのろ進む。途中で生徒たちが乗り込んできた。教科書を覗くと、三角関数を解いている。僕にはさっぱり分からない。
ようやく、高知駅に戻ってきた。あの人は待合室にいた。「次ので行こうと思った」とけろっしている。
「まあ、大体予定通りに行くんでしょう?」
それを聞いて、僕たちの怒りが爆発した。
「滅茶苦茶だよ。君が乗り遅れたせいで、みんな千円近く損をしたんだぜ」
「もう大歩危峡に着いてると思ったよ」
「そんな、放っておけるかよ」
そのとき、待合室のテレビが、朴正煕大統領の暗殺を報じていた。当時の韓国は軍事政権による独裁体制が続いており、金大中元大統領も反体制運動をしていた容疑で、秘密警察により日本から拉致され、死刑判決が出されていた。前回の暗殺未遂事件では、朴大統領の夫人陸英修が射殺されていた。二人の娘朴槿恵が大統領になるも、職権乱用と強要の罪で懲役二四年を言い渡されることなどは、その時には知る由もなかった。(つづく)
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