これはバーチャルな形で臨死体験を引き起こす技法らしい。肉体の死が始まると、女性原理は上昇し、男性原理は下降していく。それが合体するまでにさまざまなヴィジョンが見えるとされ、両者が合体する瞬間、死者は気絶してしまう。それまでに速やかに頭頂から意識を抜いて、浄土へ達することを修行者は目指す。 普通の死者は気絶後に意識を取り戻すと、微細なエネルギーによる身体(意成身)を得ているとされる。俗に言う幽霊(仏教でいう餓鬼)である。中有(現世から来世までの中間状態)の後に、さまざまなヴィ..

 これはバーチャルな形で臨死体験を引き起こす技法らしい。肉体の死が始まると、女性原理は上昇し、男性原理は下降していく。それが合体するまでにさまざまなヴィジョンが見えるとされ、両者が合体する瞬間、死者は気絶してしまう。それまでに速やかに頭頂から意識を抜いて、浄土へ達することを修行者は目指す。
 普通の死者は気絶後に意識を取り戻すと、微細なエネルギーによる身体(意成身)を得ているとされる。俗に言う幽霊(仏教でいう餓鬼)である。中有(現世から来世までの中間状態)の後に、さまざまなヴィジョンにおびえた死者の意識は、交わっている生物の受精卵の中に溶け込み、転生してしまうのだという。中有にとどまっている間に、現れたヴィジョンを幻と悟れば、輪廻から逃れられるとされている。夢を幻としてコントロールする技術は、死に際して威力を発揮するというわけだ。それを確実にするためにも、生前の修行で臨死に近い状況を体験し、不浄なカルマ(業)を浄化させなければならない。
 このように「ナーローの六法」における「ミラム」は、夢を見ながらヨーガを行う修行法で、最終的には夢を解体してしまう点、先に述べた「ゾクチェン」と共通している。日本仏教と大いに異なるかに見えるチベット仏教でも、夢は消し去らねばならぬものなのである。

参考文献
『チベットの死者の書』(川崎信定訳 講談社)
『夢の修行』(ナムカイ・ノルブ著 永沢哲訳 法蔵館)
『現代思想』(1983年9月号 特集=密教 青土社)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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