石ころが転がる斜面の道は、木々の根が地表にはびこり、足を取られそうになる。薄暗くなったら、それこそ崖の下に転落しかねない。けもの道のようなところは、明るいうちにしか来られない。しかも、吊り橋はかなり下にあるらしい。途中で道が二手に分かれた。対島(たじま)の滝展望台に、友人は行きたがった。 先にどんどん行ってしまい、後ろ姿が見えない。強風が崖の道に吹きつける。寒くなって上着をもう一枚羽織った。垂直に切り立つ黒い崖に、容赦なく荒波が叩きつけていた。波に浸食されてできた洞門は、白..

 石ころが転がる斜面の道は、木々の根が地表にはびこり、足を取られそうになる。薄暗くなったら、それこそ崖の下に転落しかねない。けもの道のようなところは、明るいうちにしか来られない。しかも、吊り橋はかなり下にあるらしい。途中で道が二手に分かれた。対島(たじま)の滝展望台に、友人は行きたがった。
 先にどんどん行ってしまい、後ろ姿が見えない。強風が崖の道に吹きつける。寒くなって上着をもう一枚羽織った。垂直に切り立つ黒い崖に、容赦なく荒波が叩きつけていた。波に浸食されてできた洞門は、白いしぶきが流れ込んで、泡に覆い隠されてしまう。昨日見た城ヶ崎海岸よりも、荒々しい顔を海は見せていた。低気圧が西から近づきつつあり、灰色の空を雲が流れ、吹きつける風も強さを増していた。
 友人と連絡がついた。僕は展望台を通り過ぎて、はるか先に進んでいたようだった。戻ろうとすると、向こうから友人が登ってきた。行き違いになってしまったわけだか、おかげで黒く切り立つ崖の荒々しい姿を目にすることができた。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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