まず、本館二階の大浴場に行った。体を洗い、内風呂に体を浸してから露天風呂に這った。他の客の姿も少なく、アルカリ性のなめらかな湯で肌はつるつるになる。余りの心地よさに時を忘れる。中庭で無料の生ビールを受け取り、室内のテーブルで飲む。酒が飲めない友人は、葡萄ジュースを飲んでいた。 部屋に仲居さんが夕食を運んできた。一つずつ献立を説明してくれる。食前酒はすもものお酒「貴陽」。冷し鉢は寄せ豆腐に海老、笹身葛打ち、蓴菜(じゅんさい)、玉子素麺に薬味とつゆ。前菜は甲州鮑貝。これほど軟ら..

 まず、本館二階の大浴場に行った。体を洗い、内風呂に体を浸してから露天風呂に這った。他の客の姿も少なく、アルカリ性のなめらかな湯で肌はつるつるになる。余りの心地よさに時を忘れる。中庭で無料の生ビールを受け取り、室内のテーブルで飲む。酒が飲めない友人は、葡萄ジュースを飲んでいた。

 部屋に仲居さんが夕食を運んできた。一つずつ献立を説明してくれる。食前酒はすもものお酒「貴陽」。冷し鉢は寄せ豆腐に海老、笹身葛打ち、蓴菜(じゅんさい)、玉子素麺に薬味とつゆ。前菜は甲州鮑貝。これほど軟らかく味わいが深い鮑は食べたことがなかった。信玄鶏曙洋風焼、石垣牛蒡沢蟹艶焼。叩きおくら紋甲烏賊。吸物替は冷菜トマトまるごとスープ煮。造りは鮪のトロなど旬の肴盛り合わせ。芽もの、山葵。甲州肴は甲州ワイン塩金焼とサラダ。煮肴は目張りの煮付け。煮魚でこれほどおいしいものは、今まで食べたことがない。極上のものしか客には出さないのだろう。
 浅尾大根田舎煮にほうれん草のお浸し。強肴(しいざかな)は甲州牛溶岩石焼きでピンクソルトで食べるのが絶品。シャリアピンソースでいただいてもおいしかったが。郷土肴は富士の介の昆布〆キャビア添えにアロエ。富士の介は鮭と鱒を掛け合わせた魚を、十年かけて育てたもので、出荷式にはさかなクンも呼んだとのこと。
 ご飯は国産うなぎ釜飯に笹牛蒡と枝豆の入った物。香の物はキュウリの漬物にいぶりがっこなど。留椀は甲州名物かぼちゃのほうとうで南瓜、里芋、人参、あげ、分葱入り。水菓子はアセロラジュレ&フルーツ。
 空腹で生ビールのジョッキを飲んでいた上に、絶品の料理を味わうために、赤ワインと燗酒も飲んだので、かなりいい気分になった。おいしいものばかりだが、あまりの品数に二時間かかって食べた。

 食事を済ますと、昇仙峡を歩いた疲れと酔いで、二時間以上も眠ってしまった。零時半頃、まだ酔いが残っていたが、部屋の露天風呂に入った。源泉掛け流しで、ほどよい湯加減。贅沢づくしの一日が終わった。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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