この作品の抜粋は、ボードレールの『人工楽園』の中に収められている。阿片の効果と、それが文学者に与える影響について知りたいなら、ボードレールの作品に目を通しておいた方がいい。 ディ・クィンシーの自伝は、いささか誇張された嫌いがあり、自意識過剰からくる一種の息苦しさを感じさせる。その中で凄まじいヴィジョンがありありと描かれているのは、「阿片の苦痛」の章である。ワーズワースの詩のように、雲の中に華麗な都市や宮殿を、細部に渡るまで目にするのだが、これが眠っている間に起こるのだから、..

 この作品の抜粋は、ボードレールの『人工楽園』の中に収められている。阿片の効果と、それが文学者に与える影響について知りたいなら、ボードレールの作品に目を通しておいた方がいい。
 ディ・クィンシーの自伝は、いささか誇張された嫌いがあり、自意識過剰からくる一種の息苦しさを感じさせる。その中で凄まじいヴィジョンがありありと描かれているのは、「阿片の苦痛」の章である。ワーズワースの詩のように、雲の中に華麗な都市や宮殿を、細部に渡るまで目にするのだが、これが眠っている間に起こるのだから、心は決して休まるものではない。床につく前にちょっと頭をかすめたことが、たちまち夢の中で生命を得て、彼の魂を苛むのだった。インドの神々に追われたり、ピラミッドの石室に埋められたり、一晩が数千年の時に感じられたり……。これこそ地獄にいる感覚だろう。その責め苦は半永久的に続くとされる。
 この種のbad tripが元になって、地獄というものの存在が主張されてきたようだ。日々瞑想に耽る修行者は、薬物は使用せずに、それと匹敵する幻影を目にする。というのも、断食が同等の効果を生み出してくれるからである。

参考文献
ディ・クィンシー『阿片常用者の告白』(田部重治訳 岩波書店)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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