これはパロディーである。『お伽草子』の「物くさ太郎」も、小屋の中で寝っ転がっている怠け者だが、ひょんなことから上洛し、働き者となる。和歌の才があることを見抜かれ、風呂で丹念に垢を落とすと、たぐいまれな美男となる。帝に拝謁すると、仁明天皇の末裔であることが分かり、甲斐と信濃を賜って、子孫も繁栄したという話。 星新一の「ものぐさ太郞」は昭和時代の怠け者で、父親の遺産で食いつないでいたが、政界の黒幕と幼なじみだった老人と知り合い、声帯模写の技で、次々と人を騙して金儲けをし、ついに..

 これはパロディーである。『お伽草子』の「物くさ太郎」も、小屋の中で寝っ転がっている怠け者だが、ひょんなことから上洛し、働き者となる。和歌の才があることを見抜かれ、風呂で丹念に垢を落とすと、たぐいまれな美男となる。帝に拝謁すると、仁明天皇の末裔であることが分かり、甲斐と信濃を賜って、子孫も繁栄したという話。
 星新一の「ものぐさ太郞」は昭和時代の怠け者で、父親の遺産で食いつないでいたが、政界の黒幕と幼なじみだった老人と知り合い、声帯模写の技で、次々と人を騙して金儲けをし、ついには世界経済を左右するまでになったという話。
 パロディー、二次創作というものは、元の話をなぞりながらも、主題をすり替えたり、価値感を引っ繰り返して、全く別物の、自立した作品を生み出すというもの。星新一の「ものぐさ太郞」は『お伽草子』のあらすじをアレンジして、欲望の権化となり果てた怪物を描き出したのである。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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