ここ数年で最もよく構成されたドラマで、無駄な要素はほとんどない。視聴者への効果もよく計算されている。 植物学者牧野富太郎がモデルのドラマで、主人公は槇野万太郞、妻寿恵子のモデルは壽惠。植物学者田邊彰久のモデルは矢田部良吉、植物学者徳永政市のモデルは松村任三。かなり史実に忠実に作られたドラマだと言える。 その一方で、ドラマ化のために変更された点もある。牧野富太郎は13人もの子供がいたが、万太郎の子供たちは5人兄弟である。ドラマでは描ききれないので、子供の数を少なくしたわけだ。..

 ここ数年で最もよく構成されたドラマで、無駄な要素はほとんどない。視聴者への効果もよく計算されている。
 植物学者牧野富太郎がモデルのドラマで、主人公は槇野万太郞、妻寿恵子のモデルは壽惠。植物学者田邊彰久のモデルは矢田部良吉、植物学者徳永政市のモデルは松村任三。かなり史実に忠実に作られたドラマだと言える。
 その一方で、ドラマ化のために変更された点もある。牧野富太郎は13人もの子供がいたが、万太郎の子供たちは5人兄弟である。ドラマでは描ききれないので、子供の数を少なくしたわけだ。関東大震災で植物図鑑の原稿が失われ、『牧野日本植物図鑑』が完成したのは昭和15年である。妻壽惠が亡くなってから12年後のことである。
 植物図鑑の完成を願い続けた妻寿恵子に、ドラマでは生前に見せられたという設定に変更されている。しかも、亡き妻壽惠にちなんで、スエコザサと命名したのであり、生前に命名して植物図鑑に収めたというのもフィクションである。
 さらに、番頭の息子と富太郎の従姉は、ドラマでは竹雄と綾であるが、沼津で酒蔵を起業して、「輝峰」という日本酒を、万太郎の新居に届けているが、史実では醤油屋をやり、それも廃業して漁師になったらしい。従姉の綾の悲願が叶ったという設定もフィクションである。
 森鴎外は「歴史其儘と歴史離れ」というエッセイを書いている。史伝はあくまで史実に忠実であるべきだが、文学として描くなら、表現効果のためには、史実を曲げることも避けられない。鴎外の場合も、「山椒大夫」では原典に縛られずに、自由に描くことを選んだ。
 朝ドラはドキュメンタリーではないので、「歴史離れ」を選ぶのは当然である。その際、史実を曲げたという謗りを受けないように、牧野富太郎という名前を使わずに、槇野万太郞という架空の人物として描いたのである。


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