Previous Episode: ジャズと文章

 午後五時五十分に、高知に到着した。新人のバスガイドさんとも、ここでお別れだった。その夜はまともなホテルだったが、大部屋だったことには変わりない。夕食は土佐の皿鉢料理だった。これは大皿に鰹のタタキ、バッテラ、玉子焼き、高野豆腐、魚のフライ、蒲鉾、羊羹などが盛ってあった。魚が苦手な男子がいたので、余計に食べることができた。 夕食後、きちんと許可を取って外出した。高知駅に出ようとして、反対側に出てしまったため、路面電車で高知駅前に出た。はりまや橋のあたりも歩いた。「土佐の高知のは..

 午後五時五十分に、高知に到着した。新人のバスガイドさんとも、ここでお別れだった。その夜はまともなホテルだったが、大部屋だったことには変わりない。夕食は土佐の皿鉢料理だった。これは大皿に鰹のタタキ、バッテラ、玉子焼き、高野豆腐、魚のフライ、蒲鉾、羊羹などが盛ってあった。魚が苦手な男子がいたので、余計に食べることができた。
 夕食後、きちんと許可を取って外出した。高知駅に出ようとして、反対側に出てしまったため、路面電車で高知駅前に出た。はりまや橋のあたりも歩いた。「土佐の高知のはりまや橋で、坊さんかんざし買うを見た」で有名だが、川は埋め立てられ、架かっていた赤い橋の欄干が、アスファルトの路面に食い込んでいた。何とも無粋な有様だった。
 商店街や本屋にも寄って帰ってきた。猥談にも飽きていたので、大部屋に戻ると、どうやったら恋人ができるか、同級生と話し合った。
「ラブレター、五枚くらい書けば、一人ぐらい引っかかるかな」
「でも、好きでもない相手に書くのも変だし」
 我慢できない同級生は、隣の男子を女性に見立てて抱きついていた。別に同性愛ってわけではない。一部のカップルに見せつけられて、僕らは我慢しきれなくなっていたのだ。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
https://podcasts.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en


Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38


にほんブログ村


人気ブログランキングへ





ランキングはこちらをクリック!

amzn_assoc_ad_type ="responsive_search_widget"; amzn_assoc_tracking_id ="faucon-22"; amzn_assoc_marketplace ="amazon"; amzn_assoc_region ="JP"; amzn_assoc_placement =""; amzn_assoc_search_type = "search_widget";amzn_assoc_width ="auto"; amzn_assoc_height ="auto"; amzn_assoc_default_search_category =""; amzn_assoc_default_search_key ="";amzn_assoc_theme ="light"; amzn_assoc_bg_color ="FFFFFF";
Twitter、facebookでの拡散、よろしくお願い致します!

Twitter Mentions