現代の山水画といっても、ここで言うのは墨絵のことではない。在日の中国人写真家、汪 蕪生(ワン・ウーシェン)氏が撮影した作品のことである。中国の黄山を中心に撮られた写真は、神仙の住むと言われた、雲海に浮かぶ孤島のような霊峰をとらえている。 始皇帝が徐福に不老不死の仙薬を探させた、東海の三神山を思わせる一枚がとりわけ目を引く。曇りガラスに白黒の写真が焼き付けられ、背後から柔らかな光で明暗が浮かび上がっているため、ほの暗い会場では山水画が迫ってくるように見える。モノクロで撮影され..

 現代の山水画といっても、ここで言うのは墨絵のことではない。在日の中国人写真家、汪 蕪生(ワン・ウーシェン)氏が撮影した作品のことである。中国の黄山を中心に撮られた写真は、神仙の住むと言われた、雲海に浮かぶ孤島のような霊峰をとらえている。
 始皇帝が徐福に不老不死の仙薬を探させた、東海の三神山を思わせる一枚がとりわけ目を引く。曇りガラスに白黒の写真が焼き付けられ、背後から柔らかな光で明暗が浮かび上がっているため、ほの暗い会場では山水画が迫ってくるように見える。モノクロで撮影されたからこそ、光と陰をこれほど際立たせるとともに、頂にたなびく霞や大気の流れも映し出せるのだ。
 そもそも道教や禅宗とつながりのある山水画は、宇宙の始原である陰陽の働きを描き出すものだ。墨という黒い色の濃淡と余白によって、光と陰、動と静、明と暗といった、混沌から存在が生起する瞬間をとらえるのである。そこに魂のふるさとへのノスタルジーをかき立てるものを感じさせる、というわけである。
 2000年の4月18日から6月28日まで、東京恵比寿にある東京都写真館で、「汪 蕪生」展が開催された。会場では汪氏から、日本語でお話をうかがうことができた。黄山の写真は向かいの峰を幾度も登り下りし、カメラのアングルを調節することから始まる。そして、じっと撮影のタイミングを待ち続ける。自然を満喫して時が訪れるのを待つのが、氏にとっては最高の幸福なのだそうだ。それは朝や夕方のことが多いらしい。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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