僕は日本語教師を長年やってきた。星新一の文章はやさしいから、教材として取り扱ったことがある。とりわけ「ボッコちゃん」は東海大学の中級日本語教科書に所収されていたから、教材として扱われた先生も多いことだろう。僕の場合は、卒業式の出し物として、外国人の学生に演じさせたから、思い出深い作品である。 星新一の作品にはよくロボットが登場するが、華麗な雰囲気と悲惨な結末のコントラスがよく効いており、ショートショートの代表的な作品となっている。 このドラマに登場するホステスのロボットは、..

 僕は日本語教師を長年やってきた。星新一の文章はやさしいから、教材として取り扱ったことがある。とりわけ「ボッコちゃん」は東海大学の中級日本語教科書に所収されていたから、教材として扱われた先生も多いことだろう。僕の場合は、卒業式の出し物として、外国人の学生に演じさせたから、思い出深い作品である。
 星新一の作品にはよくロボットが登場するが、華麗な雰囲気と悲惨な結末のコントラスがよく効いており、ショートショートの代表的な作品となっている。
 このドラマに登場するホステスのロボットは、水原希子が演じている。美しい女性であり、かつロボットのたどたどしい語りをよく演じている。ボッコちゃんはAIが入っているんだろうが、半世紀以上前のかなり初歩的な機能しか持っていない。相手の問いかけに、鸚鵡返ししているに過ぎない。にもかかわらず、女性の声で笑顔に語られると、男たちは心を奪われてしまう。
 凶行を起こす青年は、ボッコちゃんに入れあげて、家の金を盗もうとして、父親にこそ泥と罵られ、ボッコちゃんとの別れの夜に、ボッコちゃんに毒薬を飲ませる。毒薬はボッコちゃんの内部を通るパイプから回収され、店のマスターや他のホステス、お客たちの口に入り、大量虐殺事件を引き起こす。
 現場に戻ってきた青年は、惨劇を目にしながら、ボッコちゃんは無事だったのを見て「よかった」と口にする。この青年は人間らしい感覚を失っているという点では、すでにロボット化している。最近の無差別事件を引き起こす若者と、大して変わらないのである。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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