「詩と神秘主義」という論文は、『至高体験』で唱えられた主張にも通じる。我々を通常縛っている機械的な動作、ロボットからいかに逃れるかが問題となっている。そして、暇であることが、人間の精神にとって、どれほど有害であるか述べている。それは倦怠を生み、人生を無意味な物にしてしまう。 それを回避するには、自らを危機的状況に置くこと、苦行を自らに課すことが重要である。危機に立ち向かうことで、自動的なロボットは停止し、真の自己と向かい合い、世界を絶対的な肯定としてとらえられる。サルトルの..

 「詩と神秘主義」という論文は、『至高体験』で唱えられた主張にも通じる。我々を通常縛っている機械的な動作、ロボットからいかに逃れるかが問題となっている。そして、暇であることが、人間の精神にとって、どれほど有害であるか述べている。それは倦怠を生み、人生を無意味な物にしてしまう。
 それを回避するには、自らを危機的状況に置くこと、苦行を自らに課すことが重要である。危機に立ち向かうことで、自動的なロボットは停止し、真の自己と向かい合い、世界を絶対的な肯定としてとらえられる。サルトルの『嘔吐』に描かれるロカンタンは、自由人であるから世界を無意味な物としか感じられない。機械的な反応をして、自我という牢獄に閉じ込められているから、世界の意味を発見することができない。ベケットの『モロイ』『マロウンは死ぬ』『名づけえぬもの』の三部作に至っては、無意味な世界から、意識の解体まで退行していく過程である。
 ここにあるものとそこにあるもの、自らの立ち位置と、他人が生きる世界を、同時に現実として把握することで、機械的なロボットは真の自己に座を譲る。自己の広がりを感じることによって、はるか昔の歴史的事実を、あたかも体験したかのように感じることも可能だと、ウィルソンは考えるわけである。

参考文献
 コリン・ウィルソン『SFと神秘主義』(大滝啓裕訳 サンリオ文庫)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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