大池に向かうために、いったん道路に出た。送迎車で来る道の途中に、暮れなずむ湖面が広がっていた。よく晴れていれば、一碧湖はサファイアのように見えるというが、雲が広がって、しかも夕闇が迫っていたので、いかにも物寂しいといった感じ。人気のない湖畔には、足こぎボートが繋留され、ボートがうつ伏せに船底をさらしていた。 ホテルの夕食が物足りないだろうというので、その足でコンビニへ買出しに行った。夜食を買い込んで戻る頃には、とっぷり日が暮れて、街灯のない道路は足もともよく見えない。 さて..

 大池に向かうために、いったん道路に出た。送迎車で来る道の途中に、暮れなずむ湖面が広がっていた。よく晴れていれば、一碧湖はサファイアのように見えるというが、雲が広がって、しかも夕闇が迫っていたので、いかにも物寂しいといった感じ。人気のない湖畔には、足こぎボートが繋留され、ボートがうつ伏せに船底をさらしていた。
 ホテルの夕食が物足りないだろうというので、その足でコンビニへ買出しに行った。夜食を買い込んで戻る頃には、とっぷり日が暮れて、街灯のない道路は足もともよく見えない。
 さて、夕食の時間になったので、ロビーの上にある食堂に移動した。一応品数はあったけれど、量が多くないのと、揚げ物以外は、味がいまひとつだった。海老やホタテ、椎茸などが入ったポトフは、塩気と出汁が足りなかったし。(つづく)



「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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