さて、奥に入るのには拝観料が五百円かかる。まず、本堂に上がり、庭園が廊下越しに見える広間で一休みする。うぐいすのように鳴る廊下は、忍びの者が近づくのを避けるためだろう。 渡り廊下を進んだところで、母胎くぐりのための暗闇の通路を、壁伝いに歩いていく。これと似たものは福岡の東長寺にもあった。ただ、東長寺は地獄を光と音で演出する、凄まじいものであったが、恵林寺の方はどうということはない。何も知らない女性は怖がっていたが、暗いだけですぐに明るい外に出られる。 恵林寺の庭園は夢窓疎石..

 さて、奥に入るのには拝観料が五百円かかる。まず、本堂に上がり、庭園が廊下越しに見える広間で一休みする。うぐいすのように鳴る廊下は、忍びの者が近づくのを避けるためだろう。
 渡り廊下を進んだところで、母胎くぐりのための暗闇の通路を、壁伝いに歩いていく。これと似たものは福岡の東長寺にもあった。ただ、東長寺は地獄を光と音で演出する、凄まじいものであったが、恵林寺の方はどうということはない。何も知らない女性は怖がっていたが、暗いだけですぐに明るい外に出られる。
 恵林寺の庭園は夢窓疎石が造らせた物で、京都にある禅寺のような豪壮な作りには、目を見張るものがある。もみじが植えられ、石灯籠が縁に立つ池には島が作られ、錦鯉が泳ぎ回っている。池の奥には清水が注ぐ小さな滝も見える。深山の中にいるような体験を、境内の中で味わえる。これは禅の境地を表すとともに、権力者が楽しむための空間でもある。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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