松本零士の『銀河鉄道９９９』（２）

　鉄郎の母は狩猟の対象にされ、剥製として死体を飾り物にされてしまう。これは王族や聖職者、芸能人が影で行ってきた人間狩りを思い起こさせる。誘拐された子供や女性は、麻薬漬けにされて性の慰み物にされ、最後には狩猟の対象となり殺されてしまう。トランプ大統領の誕生によって、アメリカ軍が軍事作戦を行って、地下に閉じ込められていた子供たちを救出しているが、もしトランプ氏が大統領にならなかったら、悪魔崇拝のための犠牲は後を絶たなかったことだろう。　ユイスマンスの『彼方』には、十九世紀のフラン..

　鉄郎の母は狩猟の対象にされ、剥製として死体を飾り物にされてしまう。これは王族や聖職者、芸能人が影で行ってきた人間狩りを思い起こさせる。誘拐された子供や女性は、麻薬漬けにされて性の慰み物にされ、最後には狩猟の対象となり殺されてしまう。トランプ大統領の誕生によって、アメリカ軍が軍事作戦を行って、地下に閉じ込められていた子供たちを救出しているが、もしトランプ氏が大統領にならなかったら、悪魔崇拝のための犠牲は後を絶たなかったことだろう。
　ユイスマンスの『彼方』には、十九世紀のフランスで悪魔崇拝の儀式が行われていたことが描かれているが、二十一世紀になっても続けられてきたのだ。崇拝のためには生贄が必要とされる。それが小児性愛や子供たちへの拷問、虐殺、人肉食、若返りの秘薬アドレナクロムの抽出につながっている。
『銀河鉄道９９９』というタイトルも、悪魔の数字とされる６６６を引っ繰り返した数字である。これは母を殺されたことへの怒り、人間の機械化、奴隷化を促す悪魔主義への反抗を表しているのではないか。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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