師走に大掃除をしていたら、新潮社がかつて販売した電子書籍『四畳半襖の下張・赤い帽子の女』が出てきた。これはボイジャー社のエキスパンドブックに音声を組み込んだもので、「青空文庫」でも採用され、三十代だった僕も、自身で作成してホームページで公開したりした。とてもよくできたソフトだったが、対応していたのはWindowsXPまでで、その後のOSでは開くことすらできない。 Windows11では開けないことは分かっていたが、エクスプローラーでCD=ROMの中を調べてみることにした。E..

 師走に大掃除をしていたら、新潮社がかつて販売した電子書籍『四畳半襖の下張・赤い帽子の女』が出てきた。これはボイジャー社のエキスパンドブックに音声を組み込んだもので、「青空文庫」でも採用され、三十代だった僕も、自身で作成してホームページで公開したりした。とてもよくできたソフトだったが、対応していたのはWindowsXPまでで、その後のOSでは開くことすらできない。
 Windows11では開けないことは分かっていたが、エクスプローラーでCD=ROMの中を調べてみることにした。EBKというのがエキスパンドブックである。かつてWindows98で開いたときは、エキスパンドブック上で音声が再生される仕様になっていた。「四畳半襖の下張」の朗読はmov形式だった。これはアップル社のQuick Timeの動画ファイルで、音声しか収録されていないが、女性による朗読は再生できた。aifというのは「Audio Interchange File Format」の略で、アップル社のオーディオ形式である。複数のファイルに分かれているのが、野坂昭如の「四畳半裁判を語る」だった。
「四畳半襖の下張」は、永井荷風作と伝えられる文語文のポルノである。明治生まれの人間には、書くことも読むこともできた文体が、現代の日本人は国文科の学生ですら辞書なしでは読めないことを、野坂昭如は嘆いていた。フランス語などは17世紀から文法が変わっていないので、現代語の知識で読むことができるのに。
 僕は一度「四畳半襖の下張」の原文を読んでいるので、朗読を聞くだけで内容のほとんどは理解できた。まあ、自分の場合は古文が好きで、高校生の頃から森鴎外訳の『即興詩人』など読んでいたからかもしれないが。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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