小説作法の本は随分読んできたが、これは『大英博物館が倒れる』『交換教授』などで知られた作家、デイヴィッド・ロッジが、大学で小説の形式について講義したのち、新聞の文芸欄に連載されたものを、補筆して完成した著作である。 小説家の生の声は貴重だし、小説作法の本に書かれた経験などは、小説を書こうとしている人間には大いに示唆的だが、小説に関する種々の問題を、体系的に取り上げた書物は少ない。これは小説家を志望する人や、海外文学の研究に携わろうとしている若者には、大いに参考となるだろう。..

 小説作法の本は随分読んできたが、これは『大英博物館が倒れる』『交換教授』などで知られた作家、デイヴィッド・ロッジが、大学で小説の形式について講義したのち、新聞の文芸欄に連載されたものを、補筆して完成した著作である。
 小説家の生の声は貴重だし、小説作法の本に書かれた経験などは、小説を書こうとしている人間には大いに示唆的だが、小説に関する種々の問題を、体系的に取り上げた書物は少ない。これは小説家を志望する人や、海外文学の研究に携わろうとしている若者には、大いに参考となるだろう。
 ただ、この本で扱われているのは英米文学で、日本人には馴染みがない作品が引用されているので、ちょっと分かりにくいかもしれない。また、英語の小説の場合と、日本語で書かれた小説の場合では、ニュアンスが異なる場合もある。
 例えば、語り手をIと言い表わし、読者にYouと呼びかける小説は、表現研究では「二人称小説」と呼ばれている。英語ではごく自然なスタイルかもしれないが、日本語で「あなた」と呼びかけることはまれなので、奇を衒った小説と受け取られかねない。
 とはいえ、文学にとって重要な項目が目白押しなので、興味を持たれた方は、ぜひ読まれるといいだろう。例を挙げると、「異化」という手法が「独創性」と結びつくのはなぜか。それは慣習が感覚を鈍らせているのを、慣習から逸脱した描写をすることによって、「知識」としてではなく「感触」として伝えることができるからである。
 人口に膾炙した物語を焼き直す場合には、驚きを経験するのは登場人物の方であって、すでに物語を知っている読者には、アイローニーとして感じられるなど、卓見が多く述べられている。ただ読み流すのではなく、本に線を引くなり、ノートに書き写すなりしなければ、理解できないかもしれないが、その努力は報いられるに違いない。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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