十六歳の修学旅行(8)
「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
Japanese - October 10, 2020 18:27Books Arts Society & Culture 日本文学 コンピューター ジャズ 電子本 電子書籍 文学賞 青空文庫 epub pdf 高野敦志 Homepage Download Apple Podcasts Google Podcasts Overcast Castro Pocket Casts RSS feed
高松の街は信号がほとんど見当たらない。まあ、四十年前のことだから、今はたくさん設置されているんだろうが。途中の道では石垣が見えた。高松城の遺構の一部で、堀は海とつながっていたから、海中に浮かぶ島のように見えたらしい。「讃州さぬきは高松さまの城が見えます波の上」と謡われていた。 さて、その日泊まる旅館の前まで来た。名前からして古めかしいので、いやな予感がした。古い木造の建物が見えたが、奥の鉄筋コンクリートの建物に入っていったから、良かったと胸をなで下ろしたのも束の間、新館に泊..
高松の街は信号がほとんど見当たらない。まあ、四十年前のことだから、今はたくさん設置されているんだろうが。途中の道では石垣が見えた。高松城の遺構の一部で、堀は海とつながっていたから、海中に浮かぶ島のように見えたらしい。「讃州さぬきは高松さまの城が見えます波の上」と謡われていた。
さて、その日泊まる旅館の前まで来た。名前からして古めかしいので、いやな予感がした。古い木造の建物が見えたが、奥の鉄筋コンクリートの建物に入っていったから、良かったと胸をなで下ろしたのも束の間、新館に泊まるのは先生と女子、他のクラスの男子で、僕たちは古い木造に案内されたのだった。
部屋は広いものの、襖はガタガタいってなかなか開かない。床は傷んで畳も傾いており、大通りをトラックが通るたびに揺れる。こんな軋んだ部屋は初めてで、まるで化け物屋敷のようだった。それでも、床の間がついているから、昔はいい部屋だったんだろう。他の部屋などは、狭い上に窓もなく、壁ははげ落ちて貧乏長屋のようだった。
広島のホテルではオートロックの個室だったが、これではロマンチックなことは起きそうにない。夜遊びが過ぎた僕のクラスは、懲罰のためにこんな部屋をあてがわれたのか。(つづく)
「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
https://podcasts.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en
Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38
にほんブログ村
人気ブログランキングへ
ランキングはこちらをクリック!
amzn_assoc_ad_type ="responsive_search_widget"; amzn_assoc_tracking_id ="faucon-22"; amzn_assoc_marketplace ="amazon"; amzn_assoc_region ="JP"; amzn_assoc_placement =""; amzn_assoc_search_type = "search_widget";amzn_assoc_width ="auto"; amzn_assoc_height ="auto"; amzn_assoc_default_search_category =""; amzn_assoc_default_search_key ="";amzn_assoc_theme ="light"; amzn_assoc_bg_color ="FFFFFF";