物理学者の立場から、時間とは何かを考察した本である。素粒子の方程式を見る限り、過去と未来を区別することはできない。にもかかわらず、過去と未来が感じられるのはなぜか。それは過去の方がエントロピー(乱雑さ)が低く、エントロピーが増大することで、時の流れが感じられるようになるというのである。これは宇宙の始まりとされるビッグバン以降のことを念頭に置いているのだろう。因果関係もエントロピーの低い状態から、高い状態への変化と考えることもできる。 量子のレベルでは、物は粒子であると同時に..

 物理学者の立場から、時間とは何かを考察した本である。素粒子の方程式を見る限り、過去と未来を区別することはできない。にもかかわらず、過去と未来が感じられるのはなぜか。それは過去の方がエントロピー(乱雑さ)が低く、エントロピーが増大することで、時の流れが感じられるようになるというのである。これは宇宙の始まりとされるビッグバン以降のことを念頭に置いているのだろう。因果関係もエントロピーの低い状態から、高い状態への変化と考えることもできる。
 量子のレベルでは、物は粒子であると同時に波動でもある。そこまで細かく見ると、すべての存在はぼやけてしまう。それを動いている状態でとらえることができないからである。そうしたミクロのレベルでは、人間は対象を把握することはできない。自分にとって意味があるものとして、大まかにとらえているに過ぎないのである。
 では、現象をとらえている自分には、実体はあるのだろうか。量子レベルで明らかなように、固有の実体は存在せず、出来事が発生しているに過ぎない。自分という意識も、友達や愛する人、敵対する人々によって映し出されたものに過ぎず、それが自意識として感じられるのも、記憶があるからである。
 死に向かってエントロピーが増大する過程を、情報として保存しているからこそ、自意識と時間が感じられるのであり、肉体の死とともに、他人から映し出されるイメージや、記憶を保存する脳が失われれば、意識もその人間にとっての時間も消えるということなのだろう。現象には実体がないという仏教の立場と、物理学者の出した結論は近い。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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