これは1981年10月02日に、池袋西武「スタジオ200」で、松本清張が行った小説作法の講演である。清張は作家の素質として、想像力の豊かさを挙げている。向こうからやって来るおばあさんの顔、姿、歩き方から、それまでの前半生や現在の生活を、想像できなければいけないというのである。 清張の『ゼロの焦点』では、けばけばしい姿の米軍相手の女性を実際に見て、もしこの女性が今は幸せな生活を送っているとしたら、かつての過去を封じるために、犯罪を犯さなければならなくなると考えた。米軍相手の水..

 これは1981年10月02日に、池袋西武「スタジオ200」で、松本清張が行った小説作法の講演である。清張は作家の素質として、想像力の豊かさを挙げている。向こうからやって来るおばあさんの顔、姿、歩き方から、それまでの前半生や現在の生活を、想像できなければいけないというのである。
 清張の『ゼロの焦点』では、けばけばしい姿の米軍相手の女性を実際に見て、もしこの女性が今は幸せな生活を送っているとしたら、かつての過去を封じるために、犯罪を犯さなければならなくなると考えた。米軍相手の水商売という社会的な問題が、そこには関係してくる。犯罪を行ったために、その女性は自殺することになった。その場所として、清張が数年前に旅行した、能登のリアス式海岸が選ばれた。わざわざ取材に行くというより、以前に旅行したことがヒントになることが多い。
 自殺の方法として、小舟で日本海に船を出すことにした。余韻を残すためであって、小舟が転覆するところまで書いてしまったら、味も素っ気もない説明になってしまう。小舟でこぎ出す方法を選んだのは、睡眠薬や首つり、入水では解剖されてしまうからである。メスで遺体を切り裂いていく。頭蓋骨を鋸で引いて、金槌で叩き、ドライバーのような物を差し込むと、頭蓋骨から脳が飛び出してくる。それは警察官でも卒倒するほど、気味の悪い物なので、ヒロインが解剖されるような死に方をさせたくなかったからだそうだ。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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