帰路の久留里線の車両に、大勢の高校生が乗り込んできた。喜びを全身で表現している彼らを見ると、若いっていいなあと思ってしまった。今では高校生とは、親子ほども年が離れてしまったけれど、当時は三十過ぎの男だったから、去りゆく青春に対する愛惜の念が強かったんだろう。 木更津駅に到着する前に高校生の姿は消え、車窓の外はすっかり日が暮れていた。港に向かって急いだのだが、岸壁が見えてきた時には、フェリーは出港したばかりで、ゆっくりと向きを変え、防波堤に沿って進んでいく姿が、闇の中から浮か..

 帰路の久留里線の車両に、大勢の高校生が乗り込んできた。喜びを全身で表現している彼らを見ると、若いっていいなあと思ってしまった。今では高校生とは、親子ほども年が離れてしまったけれど、当時は三十過ぎの男だったから、去りゆく青春に対する愛惜の念が強かったんだろう。
 木更津駅に到着する前に高校生の姿は消え、車窓の外はすっかり日が暮れていた。港に向かって急いだのだが、岸壁が見えてきた時には、フェリーは出港したばかりで、ゆっくりと向きを変え、防波堤に沿って進んでいく姿が、闇の中から浮かび上がっていた。
 待合室で焼肉弁当を掻き込み、おみやげに枇杷餅を買った。七時過ぎの川崎行に乗船した。デッキに置かれたテーブルで日記を書いていたが、風が冷たくなってきた。船室の方に移ると、疲労と快さで睡魔に襲われていった。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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