テレビに登場する芸能人そっくりのヒロインは、派遣社員をするかたわら、SNSに自撮りした写真を掲載し、ちょっとした人気者になっている。 ある夜、部屋でテレビを見ていると、密室に閉じこめられ、助けを求めて絶叫している女性が映し出される。何て下手な演技だ、自分ならもっと上手にできると、ヒロインは言い放つ。 彼女は帰りの夜道で、黒い服を着た男に「テレビに出てみないか」と声をかけられる。そのときは決心できなかったものの、二回目に喫茶店で会ったときに、よろしくお願いしますと答える。 日..

 テレビに登場する芸能人そっくりのヒロインは、派遣社員をするかたわら、SNSに自撮りした写真を掲載し、ちょっとした人気者になっている。
 ある夜、部屋でテレビを見ていると、密室に閉じこめられ、助けを求めて絶叫している女性が映し出される。何て下手な演技だ、自分ならもっと上手にできると、ヒロインは言い放つ。
 彼女は帰りの夜道で、黒い服を着た男に「テレビに出てみないか」と声をかけられる。そのときは決心できなかったものの、二回目に喫茶店で会ったときに、よろしくお願いしますと答える。
 日が暮れてから、男の車に乗って、テレビ局のスタジオに向かう。男は「本当にいいのか、テレビの世界に足を突っ込んだら、なかなか抜けられない」と念を押すが、ヒロインは男の後ろについて、スタジオだという怪しげなビルの地下に降りていく。
 ようやくヒロインは、騙されたことに気づく。男を悪魔のようだと罵るが、男は悪魔そのものであると語る。スターとして光り輝く者がいるのは、闇の世界の犠牲者がいるからで、光と闇のバランスを取るのが悪魔の役割だと。
 悪魔はドアをすりぬけて出て行ってしまう。ヒロインは壁の一部に窓を見つけて、向こう側にいる人に助けを求める。これはちょうど、ヒロイン自身が以前、テレビで見た女性が絶叫する場面と照応している。
 この窓こそが、テレビという存在である。テレビに映っているのは、非日常の光と闇の世界なのだ。光の部分だけに魅せられて、芸能界に志願する若者の多くには、悲惨な人生が待っている。
 たとえ、芸能人としてヒットしても、テレビで見られる光の世界の裏で、どす黒い世界が日常で待っている。政治家の慰み者にされるだけならまだましで、悪魔に魂を売る誓いをさせられ、幼児を生贄にする儀式に参加させられ、死後には地獄が待っている。それどころか、人気絶頂中に舞台から引きずり下ろされ、人道に対する大罪を犯したとして、秘かに死刑に処される者さえいるという。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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