岡田港を見下ろしながら、坂を下っていく。島を時計回りに四分の一ほど回ったことになる。それまでは比較的楽だったが、大島公園の辺りから、道路は海岸線を離れ、内陸部に入った。だらだらの登り坂が延々と続く。 しかも、小雨がちらつき始めた。大砂漠地帯を進むうちに、濃霧と雨に変わった。目の前がよく見えず、いくら息が弾んでも、体温は冷やされていく。前方から来るヘッドライトもぼんやりしてしまうほどで、気合で耐えていくしかない。 何だか雲の中に入ってしまったみたいだった。橋を渡るときなど、天..

 岡田港を見下ろしながら、坂を下っていく。島を時計回りに四分の一ほど回ったことになる。それまでは比較的楽だったが、大島公園の辺りから、道路は海岸線を離れ、内陸部に入った。だらだらの登り坂が延々と続く。
 しかも、小雨がちらつき始めた。大砂漠地帯を進むうちに、濃霧と雨に変わった。目の前がよく見えず、いくら息が弾んでも、体温は冷やされていく。前方から来るヘッドライトもぼんやりしてしまうほどで、気合で耐えていくしかない。
 何だか雲の中に入ってしまったみたいだった。橋を渡るときなど、天上にいるのかと錯覚してしまいそうだった。汗に雨粒が混じって、口の中に入り込んでくる。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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